抄録
[目的] FAO/UNESCOによると、pH8.5以上のアルカリ土壌は世界に4億3400万ha存在するとされている。高pH条件下での生育障害の原因としてこれまでにP, Fe等の要素欠乏が明らかにされており、NH3による障害も指摘されている。OH-による障害の存在も推定されているがその確証はない。本研究は微量要素欠乏やNH3障害を発現しない培養法で植物を培養して、OH-による生育障害の存在を検討することを目的とする。
[方法] 1 窒素源としてNO3-のみを含む培養液を用いイネとトマトをpH6, 9, 10, 11で8日間生育させた。高pH処理区では養分欠乏を解消するために各pH培養液とpH6培養液を1日おきに更新する培養法(交互pH処理)を設定した。培養液pHの低下を抑えるため培養液に通気する空気からCO2を除去した。2 OH-による細胞内代謝への影響を調べるため1と同じ処理で5日間生育させMDH活性を測定した。3 pH6で前培養したイネとトマトを1と同じ処理培養液で24時間処理し、水吸収量を測定した。
[結果] 1 全ての供試植物でpH10以上で生育が低下し、pH9以上で根長が減少した。根の伸長阻害作用は特に根毛で顕著であった。生育観察と分析結果から交互pH処理区において養分欠乏は認められなかった。2 葉、茎、根で有意なMDH活性の低下は認められなかった。3 水吸収はトマトでpH9以上、イネでpH10以上でともに処理開始12時間以内で有意に低下した。以上の結果からOH-による生育障害は存在すると判断した。