抄録
ホウ素(B)欠乏や過剰は植物の生育を阻害する。昨年シロイヌナズナでマイクロアレイを用いた解析により、B欠乏やB過剰による遺伝子発現の誘導について報告した。このうち、B過剰で栽培した植物で発現が誘導される遺伝子9個について、定量的PCRでも発現誘導を確認した。この中には、ヒートショックタンパク質やMATEファミリーのトランスポーターが含まれていた。また、B欠乏あるいはB過剰により発現が誘導される遺伝子十数個について、T-DNA挿入変異株のホモ個体を得てB栄養に応じた生育を調べた。このうち、WRKY6遺伝子の第三エキソンにT-DNAが挿入されているwrky6-3変異株の根の長さは、30uMのホウ酸を含む標準的な培地では野生型株と同程度であったが、0.03uMのホウ酸を含むB欠乏培地では野生型株よりも短かった。既報のwrky6-1及びwrky6-2変異株を入手し生育を調べたところ、B欠乏条件下で野生型株より根が短かった。WRKY6遺伝子のプロモーターでGUS遺伝子を発現するコンストラクトが導入された植物をB欠乏培地で栽培しGUS染色を行ったところ、標準的な培地で栽培した植物よりも根の先端付近で強い染色が認められた。また、根の先端5mmから抽出したRNAにおけるWRKY6転写産物の蓄積を定量したところ、B欠乏条件で2倍程度の増加が認められた。