日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ種子胚における金属分布と胚への金属輸送
*高橋 美智子北島 信行保倉 明子寺田 靖子鈴木 基史井上 晴彦石丸 泰寛中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 137

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抄録
植物の生殖器官の成長および種子成熟には鉄、亜鉛、銅、マンガンなどの金属元素が必須である。植物体内における金属元素の輸送には、キレーターが重要な機能を果たす。ニコチアナミン(NA)は植物に広く存在する金属のキレーターであり、植物体内の金属輸送や金属の恒常性の維持に関わる。ムギネ酸類はイネ科植物に特異的な金属のキレーターであり、NAを前駆体として合成され、イネではデオキシムギネ酸(DMA)が合成される。本研究では、イネの生殖成長および胚発生過程におけるNAおよびDMAの役割を明らかにすることを目的とした。
生殖器官および種子への鉄、亜鉛、マンガンの輸送形態を探るため、Fe(II)-NA, Mn(II)-NA錯体のトランスポーター遺伝子をコードするOsYSL2遺伝子、Fe(III)- DMA錯体のトランスポーターをコードするOsYSL15遺伝子、Fe(II)のトランスポーターOsIRT1遺伝子、亜鉛イオンのトランスポーターOsZIP4遺伝子、NA合成酵素遺伝子(OsNAS)、DMA合成に関わる遺伝子の発現の花や種子における発現を解析した。さらに完熟間近の種子胚における金属分布を放射光マイクロビームを用いた蛍光X線分析により明らかにした。これらの結果に基づき、イネ種子胚への金属元素の輸送を考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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