日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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clf swn二重変異体を用いた、Polycombによる胚発生関連因子発現制御機構の解析
*針金谷 尚人菊池 彰溝口 剛鎌田 博
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p. 138

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抄録
クロマチンリモデリング因子であるPolycomb(Pc)複合体は、ヒストンH3の第27番リジン(H3K27)のメチル化修飾を介し、遺伝子発現を負に制御する。Pc複合体の構成因子であるCURLY LEAF(CLF)SWINGER(SWN)の二重変異体(clf swn)は、発芽後に不定胚を形成する(Schyvert et al., 2005)。胚発生関連因子であるFUSCA3のプロモーター領域では、組織によってヒストンH3K27のメチル化レベルが異なる。そのため、Pc複合体の胚発生への関与が示唆されているが、具体的な分子機構は未だ不明である。そこで、clf swn における不定胚形成の原因を特定し、胚発生関連因子の発現制御とクロマチンリモデリングの関係の分子機構の解明を試みた。
我々は、clf swnを様々な条件下で生育し、低温で生育した時に地上部においてのみ不定胚の形成が抑制されることを見出した。clf swnでは通常環境での栽培において植物体全体でLEAFY COTYLEDON1 (LEC1)の異所的発現が確認されたが、低温条件での栽培によってのみ地上部でその異所的発現が抑制された。この地上部での発現抑制は低温条件から常温に移行する事で回復した。これらの結果は、clf swnで見られる不定胚形成はLEC1の異所的発現が主な原因であり、Pc複合体が発現制御に関与することを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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