抄録
MPN+ドメインを有する蛋白質はユビキチン・ユビキチン様蛋白質の脱修飾に働くことが知られている。シロイヌナズナで同定されている3種のMPN+ドメイン蛋白質のうち、RPN11(脱ユビキチン化酵素・26Sプロテアソーム構成因子)とCSN5 (脱Nedd化酵素・COP9シグナロソーム構成因子)の作用機構については多くの知見が得られているが、残るひとつ、AMSHについては解析が行われていない。AMSHは、ほ乳類ではK63ユビキチン鎖特異的な脱ユビキチン化酵素として報告されており、エンドサイトーシスの制御に関与すると考えられている。
本研究では、逆遺伝学を用いたシロイヌナズナamsh変異体の解析によって、AMSHの作用機構の解明を目指している。データベース検索の結果、シロイヌナズナには3種類のAMSHホモログが存在することが分かり、これをAMSH1-3と名付けた。現在までの結果から、全てのシロイヌナズナAMSHがin vitroでMPN+ドメイン依存的な脱ユビキチン化活性を持ち、このうちAMSH3は植物の生育に必須であることが明らかとなった。局在解析、生化学的解析をもとに、シロイヌナズナAMSHの高等植物における機能について議論したい。