日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

クラミドモナスにおける硫黄欠乏により誘導されるスルフォ脂質分解系の役割
*杉本 貢一佐藤 典裕都筑 幹夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 186

詳細
抄録
スルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)は葉緑体に存在する膜脂質のなかで、唯一硫黄(S)を含む。我々は既にS欠乏条件にさらされたクラミドモナスがSQDGの分解系を誘導することを報告した。そこで、S欠乏時における細胞内Sの挙動を調べた。まず、クラミドモナスを[35S]硫酸でラベルしたところ、SQDGに11%、タンパク質に68%の放射活性が検出された。Sを含まない培地にこの細胞を移したところ、SQDGの放射活性は6時間で2%にまで減少し、その一方でタンパク質の放射活性が83%に増加した。この結果は、タンパク質へ移行するSの大部分がSQDGに由来することを示している。また、S欠乏条件下において、SQDG欠損変異株は野生株に比べてクロロフィルの蓄積や硫酸トランスポーターの活性誘導が抑制され、さらに生育が野生株の約半分に抑えられていた。これらの結果から、S欠乏条件下においてSQDGがタンパク質合成に必要なSを提供すること、このSの移行が生理学的に重要な意義を持つことが示された。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top