抄録
ロズマリン酸(rosmarinic acid; RA)は、シソ科(Lamiaceae)とムラサキ科(Boraginaceae)の植物に含まれており、抗ウィルス、抗細菌、抗炎症などの作用を示すことが知られている。RAはアミノ酸のL-phenylalanine由来のcaffeic acidとL-tyrosine由来の3,4-dihydroxyphenyllactic acidのエステルであることが明らかになっている。我々は、シソ科植物に含まれる抗酸化物質を環境制御により増量させる技術の開発を進めており、これまでに、スィートバジルに含まれる主要な抗酸化物質がRAであり、青色光とUV-Bの夜間補光によってRA含量が増加する現象を明らかにした。現在、スィートバジルのRA生合成に関わる酵素群(phenylalanine ammmonia-lyase, tyrosine aminotransferase, hydroxyphenyl pyruvate reductaseなど)の遺伝子を単離し、発現解析を進めている。