日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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マルバアサガオの花と種子の着色や種皮のトライコーム形成を制御するbHLH転写因子
*朴 慶一森田 裕将石川 直子崔 丁斗星野 敦飯田 滋
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p. 198

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抄録

高等植物の表皮細胞では、MYB転写因子、bHLH転写因子、WDR因子の相互作用により、アントシアニンやタンニンによる着色、根毛やトライコームの形成などが支配されている。我々もアサガオとソライロアサガオの変異体の解析から、これらの因子がアントシアニンによる花弁の着色と、未同定な色素による種皮の着色を促進することを明らかにしている。
マルバアサガオでは花色が薄く、種皮が象牙色となる複数のivs変異が分離されている。その変異体の花弁ではbHLH2遺伝子と、アントシアニン色素生合成に係わるCHSCHIF3HDFRANSUF3GT 遺伝子のmRNA蓄積量が低下していた。これら変異体のbHLH2遺伝子には、いずれもhATもしくはMutatorファミリーのトランスポゾンが挿入していることから、IVS遺伝子がbHLH2転写因子をコードすることが判明した。一方、野生型の黒い種皮にはタンニンと植物メラニンが含まれ、それらの蓄積量が変異体で低下していた。タンニン生合成に係わる遺伝子のmRNA蓄積量を調べたところ、変異体のCHSCHIF3Hは野生型と変わらなかったが、DFRANSは著しく低下していた。以上の結果より、マルバアサガオのbHLH2転写因子は、アントシアニンとタンニンの生合成だけでなく、植物メラニンの蓄積も活性化することが判明した。さらに走査顕微鏡による観察から、種皮ではトライコーム形成を促進することも明らかとなった。

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© 2007 日本植物生理学会
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