日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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液体クロマトグラフィー―フーリエ変換質量分析計(LC/FT-ICR-MS)による代謝産物分析データの連続解析システムの構築
*中村 由紀子櫻井 望飯島 陽子青木 考岡崎 孝映太田 大策北山 雅彦金谷 重彦柴田 大輔
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p. 205

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抄録
FT-ICR-MSは、高分解能、高質量精度などの特徴を持つことから、植物のメタボローム解析において主要な分析機器の一つである。また、LCと組み合わせることにより、同一質量を持つ物質を分離することができ、さらに精密な分析結果が得られる。しかしLCを用いると、スキャンポイントごとに分析を行うので、データ構成がより複雑になる。よって、試料を分析器に直接導入するフローインジェクション法に比べ、解析もより困難になる。現状では、ユーザがデータを1つずつ確認し、有益なピークの拾い出しを行っているが、数千のスキャンにおいておのおの千ほども検出される分析データを全て把握するには多大な時間と労力を要する。そこで我々は、各スキャンにおける検出m/z値のずれを内部標準物質データにより補正し、スキャンごとのm/zデータを対応付け、さらにピーク検出を一斉に行うコンピュータシステムを、Javaを用いて開発した。確実にピークを特定できれば、マススペクトルにおける同位体パターンも推定でき、そのピーク物質の絞込みを効率的に行うことができる。本発表では、トマトを例とし、解析手法について紹介する。本システムを用いて解析・蓄積されたデータは、代謝物アノテーション作成や、そのデータベース化に役立ち、LC/FT-ICR-MSを用いたメタボローム解析におけるスタンダードとなることが期待される。
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© 2007 日本植物生理学会
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