日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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転写因子Dof1による窒素同化能力の強化の分子機構の解析
*藤森 玉輝柳澤 修一
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p. 214

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抄録
窒素同化に必要な炭素骨格の生合成経路の酵素の発現に関わるトウモロコシ転写因子Dof1を発現しているシロイヌナズナ形質転換体では、遊離アミノ酸総量の増加と窒素同化能力の向上が見られることを既に報告している。今回、我々はDof1による窒素同化能力の強化はアンモニウムイオンの存在に依存することを報告する。アンモニウムイオン非存在下で生育させた場合には地上部と根のいずれにおいてもDof1形質転換体とコントロール植物体の遊離アミノ酸含量の間に有意な相違は確認されなかったが、10 mMアンモニウムイオン存在下で生育させた場合には地上部でのみコントロール植物体に比べてDof1形質転換体のほうが高い遊離アミノ酸含量を持つことが判明した。アンモニウムイオン存在下で生育させた形質転換体の地上部でのみ、遊離アミノ酸の含量の増加ともに窒素同化に必要な炭素骨格の供給に関わるクエン酸回路の代謝中間体であるリンゴ酸およびフマル酸の減少も観察され、また、Dof1転写制御因子のターゲットであると推定されるAtPEPC1やAtPK1などの発現の上昇も確認された。これらのことからDof1機能は組織特異的に、またアンモニウムイオン依存的に発現されることが示唆された。現在、Dof1形質転換シロイヌナズナを用いたDNAマイクロアレイ解析を行っており、その結果についても報告する予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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