日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ窒素応答遺伝子の包括的解析
*執行 美香保藤森 玉輝柳澤 修一
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p. 213

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抄録
植物は硝酸イオンとアンモニウムイオンを窒素源として吸収し同化して、アミノ酸、タンパク質や核酸といった種々の窒素元素を含む生体物質の生合成を行っている。無機窒素の供給は窒素シグナルに直接的に応答した遺伝子発現に加え、同化物含量の上昇とそれに基づく二次的制御を引き起こすと考えられる。本研究では、イネにおける窒素の供給によって引き起こされる代謝変化と遺伝子発現パターンを包括的に明らかにするために、滅菌水により発芽後1週間培養した後に10 mM硝酸アンモニウムにより1時間、3時間、24時間の窒素処理を行ったイネを用いて、アミノ酸や有機酸といった代謝物の変動の解析とマイクロアレイを用いた発現解析を行った。シュートと根に分けて時系列で評価することにより、代謝物と遺伝子発現の変動がシュートと根では異なることが明らかとなった。また、短時間の間に発現が誘導される転写因子に加え、グルタミンの含有量と正の相関を持って発現が誘導される転写因子を同定した。そのような転写因子には、AP2-EREBP family、MYB family、NAC family、WRKY family、zinc-finger familyに属する転写制御因子が含まれていた。現在、これら転写因子の標的遺伝子の探索も進めている。
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© 2007 日本植物生理学会
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