日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるrbcS multigene familyの窒素供給量に対するmRNAレベルでの応答
*吉澤 隆一鈴木 雄二今井 一洋牧野 周前 忠彦
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p. 216

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抄録
光合成の炭酸固定反応を触媒する酵素Rubiscoの葉における量は、窒素栄養の供給量の増加に伴い特異的に増加することが知られている。Rubiscoの小サブユニットをコードする遺伝子rbcSは核ゲノムにgene familyを形成することが知られ、イネ(Oryza sativa L)においても5分子種(OsRBCS1-5 )の座乗が確認されている。本研究ではイネ葉を材料とし、Rubisco量の窒素栄養への応答に関する基礎的な知見として、rbcS gene familyの窒素栄養に対する応答をmRNAレベルから明らかにすることを目的とした。窒素栄養を0.5 mM(低窒素区)、2 mM(標準区)、8 mM(高窒素区)の濃度で含む水耕液で栽培したイネ第10葉における各mRNAを、リアルタイムRT-PCR法により定量した。その結果、窒素供給量に関わらずOsRBCS2-5のmRNAの蓄積量が高く、高窒素区においては、これらのmRNA量の最大値が標準区と比べ増加していた。その一方で、低窒素区においては、mRNA量の最大値がOsRBCS2およびOsRBCS4では標準区と比べ低下していたのに対し、OsRBCS3およびOsRBCS5では増加していた。以上から、イネにおけるrbcS gene familyの窒素供給量に対するmRNAレベルでの応答は、分子種によって異なっていることが明らかとなった。
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© 2007 日本植物生理学会
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