日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高 CO2 親和性を示す紅藻 RuBisCO が有するラッチ構造のラン藻 RuBisCO への導入
*二宮 奈々蘆田 弘樹横田 明穗
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p. 217

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抄録
リブロース 1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)はカルビンサイクルの鍵酵素で、カルボキシラーゼ反応とオキシゲナーゼ反応を同一活性部位で触媒する。オキシゲナーゼ反応に対するカルボキシラーゼ反応の比特異性は Srel ( Srel = Vmax(CO2) Km(O2) / Vmax(O2) Km(CO2) ) で示される。高 Srel を示す RuBisCO の創成は植物の光合成効率改良につながると考えられ、期待されている。
好熱性原始紅藻 Galdieria partita の RuBisCO は地球上で最も高い Srel を示し、高等植物の約3倍の 238 である。構造解析から、我々は Galdieria RuBisCO に高い Srel に関与すると予想される構造を見出し、ラッチ構造と呼んでいる。ラッチ構造は RuBisCO の触媒 loop 上の Val332 の主鎖の酸素原子と Gln386 のアミノ基間に形成される水素結合で、植物やラン藻 RuBisCO には見られない。
本研究では Srel とラッチ構造の関係を明らかにするため、変異導入により Srel が非常に低い Synechococcus sp. PCC 7002 RuBisCO に Galdieria RuBisCO のラッチ構造を導入し、酵素学的解析を行った。その結果ラッチ導入 RuBisCO は野生型より高い Srel を示す傾向が見られた。現在、変異 RuBisCO の詳細な解析を行っている。
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© 2007 日本植物生理学会
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