日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キシラナーゼを過剰発現させたポプラの木部細胞壁の性質
*馬場 啓一Park Yong Woo林 隆久
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p. 250

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抄録
キシランは二次細胞壁の主要なヘミセルロースで、キシロースがβ-1,4で直鎖状に結合した主鎖をもつ。このキシラン主鎖を分解する大麦エンドβ-1,4-キシラナーゼ(HvXYLI)を構成的に発現させる形質転換体ポプラを作出した。木部ヘミセルロース画分のメチル化分析の結果から、4-結合由来のキシロース残基が野性型の5分の1程度にまで減少しており、キシランの量が減っていることが示された。概観した表現型の変化としては葉面積が若干大きくなり、成長も僅かながら大きかった。あて材を誘導させるために水平にして育成したところ、最終的には野性型と同様な角度にまで起きあがったが、屈曲初期に茎のより低い部分から立ち上がるので、木部形成初期の組織が野性型よりも柔軟であることが示された。木部におけるリグニンの量が野性型に比べて減少しており、また二次木部形成初期における維管束間の木化が野性型よりも遅れることが蛍光顕微鏡の観察で示された。リグニンはキシランをターゲットに堆積が開始すると考えられており、キシランの減少によってリグニンの堆積がスムーズに行われないことが野性型よりも柔軟な屈曲を示した原因であると考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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