抄録
キシログルカンを特異的に分解するキシログルカナーゼをポプラで構成発現させることにより、ポプラの成長が活性化された。すなわち、節間の伸長が促進され、バイオマス量が野生株に比べて2~3倍増加した。細胞壁のゆるみに伴うシンク機能の活性化は、バイオマス量の増加をもたらした。このことは、樹幹の成長が、根を通じた無機養分、および葉を通じた炭素の吸収をともに活性化することを示したものである。特に形質転換体では、葉の形態が変化した。すなわち、暗い光の下で培養しているにもかかわらず、陽葉様の形態を示した。本研究では、ソース機能に及ぼすシンク機能の作用について報告する。
形質転換体の葉は、野生株に比べて気孔の閉鎖速度が遅く、また光合成能が高いことが示された。しかしながら、葉を除いた形質転換体に野生株を接ぎ木しても、バイオマス量の増加が認められた。従って、葉の形態変化に伴う炭素固定能増大効果よりも、樹幹における壁のゆるみが成長を促進していることが示された。