日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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L-フコキナーゼ活性とGDP-L-フコースピロホスホリラーゼ活性を有する酵素のシロイヌナズナからの単離と性状解析
*小竹 敬久北條 祥子円谷 陽一
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p. 254

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抄録
UDP-糖やGDP-糖といった糖ヌクレオチドは、高等植物のサルベイジ経路では、単糖1-リン酸とヌクレオチドから合成される。グルコース、ガラクトース、キシロース、L-アラビノース、グルクロン酸は、サルベイジ経路でUDP-糖に変換されるのに対して、L-フコースはこれらとは独立した反応でGDP-糖に変換されると考えられる。今回、我々はシロイヌナズナとイネのゲノムデータベースを利用して、L-フコキナーゼ遺伝子とGDP-L-フコース ピロホスホリラーゼ遺伝子両方に相同性を有する、新規の遺伝子(AtFKGPと命名)を同定した。イネにも高い相同性の遺伝子(OsFKGP)が存在するが、動物や酵母、細菌には相同遺伝子が存在しない。大腸菌で発現した組換えAtFKGPは、ATP、GTP、L-フコースからGDP-L-フコースを合成した。AtFKGPは、シロイヌナズナの花の蕾で比較的強く発現していた。T-DNA挿入によるAtFKGP遺伝子機能喪失変異体では、細胞質画分にL-フコースが蓄積していた。これらのことから、AtFKGPは、L-フコースとATPからL-フコース1-リン酸を生じる反応と、L-フコース1-リン酸とGTPからGDP-L-フコースを生じる反応を触媒する植物特有の酵素であり、シロイヌナズナではL-フコースのサルベイジ反応に関与することが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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