日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アラビノガラクタン-プロテインの糖鎖のβ-グルクロニダーゼによる分解
*古西 智之小竹 敬久ソラヤ ディナ金子 哲五十嵐 圭日子鮫島 正浩円谷 陽一
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p. 255

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抄録
アラビノガラクタン-プロテイン (AGP) は植物の細胞膜や細胞壁に普遍的に存在するプロテオグリカンであり、細胞接着、形態形成、細胞死など多様な機能を持っている。その重量の約90%を占める糖鎖部分は植物の組織や発育段階により構造が変化することが知られており、AGPの機能に重要であると考えられる。ダイコンのAGPにはガラクトース、L-アラビノース (L-Araf ) の他にグルクロン酸 (GlcA)、4-O-メチル-グルクロン酸 (4-Me-GlcA) が多く存在するが、これらのウロン酸の結合様式や生理機能は判っていない。
AGP糖鎖の構造・機能を解明するため、Aspergillus niger およびNeurospora crassa からβ-グルクロニダーゼ遺伝子 (AnGlcAase, NcGlcAase) をクローニングし、組換え酵素を作製した。ダイコンから精製したネイティブなAGPはこれらの組換え酵素であまり分解されなかったが、α-L-アラビノフラノシダーゼ処理したAGPからは、両ウロン酸が遊離された。また、根と葉由来のAGPで比較したところ、L-フコース (L-Fuc) 残基の多い葉AGPには殆ど作用しなかった。このことから、AGP糖鎖のL-Araf 残基やL-Fuc残基は、β-グルクロニダーゼの作用において立体的な障害になっていることが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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