日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネの頂芽優勢
*有手 友嗣岩田 広隆大島 健司中嶋 正敏榊原 均小嶋 美紀子前川 雅彦経塚 淳子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 257

詳細
抄録
植物には一般に頂芽が存在すると腋芽の伸長が抑制されるという現象が存在し、これを頂芽優勢と言う。頂芽からのオーキシンが腋芽の伸長に対して抑制的に働くことは古くから知られている。しかしながらオーキシンがどのように腋芽に作用しているのかはよく分かっていない。我々はイネにおける頂芽優勢機構の解明をめざし、分子レベルでの解析を行っている。イネにおいても頂芽を取り除くことによって腋芽の伸長が促進された。さらに、切断面からオーキシンを与えると頂芽優勢が維持されたことから、今まで研究されてきた双子葉植物と同様に、イネにおいても頂芽からのオーキシンが頂芽優勢の維持に働いていると考えられた。
イネのd3、d10、d14、d17、d27の5つの変異体はどれも頂芽優勢が低下している。d10の原因遺伝子D10は、カロテノイド切断酵素をコードするMAX4/RMS1のオーソログであった。MAX4/RMS1は腋芽の伸長を阻害するホルモン様物質(Shoot multiplication signal, SMS; Beveridge, 2006)の代謝に関わっている。d10変異体では頂芽の存在に関わらず、腋芽が著しく伸長する。また外生的にオーキシンを与えることによって、D10のmRNAが顕著に蓄積した。以上の結果からオーキシンの二次メッセンジャーとしてD10およびSMSが働いている可能性について考察する。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top