日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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茎頂分裂組織と器官形成に異常を示すシロイヌナズナ変異体gorgonの解析
*高野 翔新濱 充相田 光宏田坂 昌生
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p. 258

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抄録
高等植物は地上部の大部分の器官を茎頂分裂組織(Shoot Apical Meristem : SAM)から作り出す。SAMの形成、維持、およびSAMからの器官形成機構を理解することは植物の形作りを理解する上で重要である。我々は、地上部の形態形成に異常を示すシロイヌナズナの劣性変異体gorgongor)を単離した。gorでは抽薹開始後しばらくの間、花茎先端の肥大化が進み、側枝や花をほとんど形成しないまま抽薹が進行するが、やがてそこから花や花をつける枝が複数同時に形成される。gorでは発芽直後からSAMのサイズの拡大がみられた。また抽薹直後の花茎先端においては肥大したSAMの周囲に多数の突起状器官が形成された。さらに花においては雌ずいの内側から新たな花や花器官が形成された。gorではSHOOT MERISTEMLESSSTM)遺伝子上にミスセンス変異が生じていた。既知のstmgorについてアレリズムテストを行なった結果、gorの原因遺伝子はSTMであることが強く示唆された。STMはSAMの形成と維持に必要であり、既知の機能損失型stm変異体ではSAMの欠失や縮小がおこる。しかしgorstmとは大きく異なり発生を通じてSAMの拡大がみられる。このことからgor変異は機能損失型stm変異とは異なる影響をSAMの発生に与えている可能性が示唆される。
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© 2007 日本植物生理学会
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