日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新規ミトコンドリア型PPRタンパク質であるLOI1はイソプレノイド合成に関与する
*小林 啓子鈴木 優志唐 建偉永田 典子關 光大山 清木内 玲子金子 康子松本 正吾吉田 茂男村中 俊哉
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p. 274

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抄録
高等植物のイソプレノイドは、動物とは異なり細胞質のメバロン酸(MVA)経路と、色素体の非メバロン酸(MEP)経路の2つの経路から合成される。しかし、植物におけるこれらの経路の調節機構についての知見は少ない。我々はこれまでに、植物に特徴的なイソプレノイド合成経路の制御機構を調べるために、MVA経路の鍵酵素であるHMGRの阻害剤lovastatin (lov)およびMEP経路特異的阻害剤clomazoneにも耐性を示すlovastatin insensitive 1 (loi1)を単離し、LOI1が新規pentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質をコードすることを報告した。
野生型はこれらの阻害剤処理によって各々の経路の主要代謝産物(ステロール、クロロフィル)含量が著しく減少するが、loi1ではこの減少が緩やかであった。loi1ではlov存在下において野生型よりもHMGR活性が上昇したことから、これがlov耐性の原因と考えた。PPRタンパク質は一般に、オルガネラコード遺伝子の転写後調節に機能すると考えられている。LOI1は一本鎖RNAに結合活性を持ち、N末領域LOI1-GFPはミトコンドリアに局在することが分かった。以上の結果より、LOI1はミトコンドリアコード遺伝子の転写後調節によって、MVA/MEP両経路の活性調節に影響する新規因子である可能性が示された。
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© 2007 日本植物生理学会
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