日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物ミトコンドリア遺伝子の発現機構
今西 優一福森 由記輿石 望小林 香澄*杉山 康雄
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p. 275

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抄録
ミトコンドリアDNAには酸化的リン酸化系の構成成分をコードする遺伝子があるので、植物ミトコンドリア遺伝子の転写とその調節はすべての組織において細胞の代謝を維持する上で大変重要である。さらに、植物の様々な成長段階、例えば、雄ずいでの雄性配偶子形成や成長点での細胞分裂の時にはミトコンドリアの数や遺伝子発現量が著しく増加するのでミトコンドリアの遺伝子発現は生理現象と密接に連動している。
高等植物ミトコンドリア遺伝子の多くはモノシストロニックに転写されるが、いくつかの遺伝子は共転写される。そして、イントロンスプライシング、RNAエディティング、5’と3’のプロセシングなどの転写後プロセシング反応によって成熟RNAが生成される。双子葉植物のコアプロモーターとして、CRTAAGAGA (CNM)モチーフとCGTATATAA (TA)エレメントが報告されている。我々はタバコミトコンドリアDNAにある60種類の遺伝子の内、数種類の遺伝子ORFの5’上流にCNMモチーフを認めた。しかしながら、それらを実験で確かめてなかったので、5’-RACEとcircularized RT-PCR法でタバコミトコンドリアの転写系の解析を進めた。現在までに数種類の構造遺伝子とrRNA遺伝子の転写開始点を決め、その5’上流にCNMとCNM様モチーフ、TAエレメントとTA様エレメントを確認した。今後、プロモーター解析に加えて、雄ずいや成長点でのミトコンドリア遺伝子発現の亢進の詳細を調べて行きたい。
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© 2007 日本植物生理学会
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