日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのサイクリン依存性キナーゼCDKAのプロモーター解析
*安達 澄子内宮 博文梅田 正明
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p. 276

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抄録
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期において中心的な役割を果たす。CDKのキナーゼ活性は、リン酸化やサイクリンなどの活性制御タンパク質の結合により制御されることがよく知られている。このような進化的に保存された翻訳後制御に対し、発生や成長に伴った転写制御については、独自の発生様式をもつ高等植物では他の生物とは異なる制御が存在すると考えられる。
植物の細胞周期を主として制御するA型CDK(CDKA)は、出芽酵母cdc28変異体の相補能をもち発現量が細胞周期に依存しない。シロイヌナズナのCDKA;1のノックアウト変異体は致死であることや、一度分化した細胞が脱分化し細胞分裂を再開する過程で実際の細胞分裂に先立って発現が上昇することが知られていることから、植物組織内においてCDKAの発現量をある閾値以上に保つことが発生や形態形成の基盤として重要であることが示唆される。そこで我々は、CDKA;1の様々なプロモーター領域をGUSにつないで形質転換植物体を作出し、植物組織内におけるCDKA;1の発現パターンの解析を行ってきた。プロモーター領域の網羅的な解析の結果、組織特異性や活性の強さが異なる複数のシスエレメント候補領域を見いだした。今回はCDKA;1の発現に大きく寄与している2つのシスエレメント候補領域を取り上げ、これらの領域がどのような生理的役割を持っているかについても考察したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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