日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

無細胞タンパク質合成系を用いた植物膜タンパク質解析系の開発
*野澤 彰宮田 拓治戸澤 譲
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 286

詳細
抄録
植物には多くの膜タンパク質をコードする遺伝子が存在している。ゲノム解析の終了したシロイヌナズナでは全遺伝子の約1/3が膜タンパク質をコードしていると推定されている。しかし、膜タンパク質は脂質二重膜上で働くため膜上に配置しないと活性を持たない、膜上に存在しないと不溶化しやすく精製が難しいなどの理由から生化学的な解析が困難であり、それらの多くは機能未知のままである。本研究では、タンパク質合成活性に優れるコムギの無細胞タンパク質発現系を利用し膜タンパク質を合成し、ダイズのリン脂質からなるリポソーム上にそれらを配置したプロテオリポソームを用いた膜タンパク質解析系の構築を試みた。
まず、イネの葉緑体内膜に存在するホスホエノールピルビン酸/リン酸トランスロケーターPPT1をモデルとして実験を開始した。当初PPT1は無細胞系で合成はされるもののその多くが不溶化しているといった問題があった。しかし、いくつかの界面活性剤を合成系に添加することにより可溶化した状態で合成することに成功した。これまでに、この可溶化したPPT1とリポソームを混合し、凍結融解および超音波処理を行うことによりプロテオリポソームを調製し、PPT1のリン酸輸送活性を検出している。現在、このプロテオリポソーム解析系の汎用性を検証するために、他の金属イオン輸送体などを用いて解析を進めている。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top