日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナホウ酸トランスポーターBOR4を用いたホウ素過剰耐性植物の作出
*三輪 京子高野 順平大森 弘之藤原 徹
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p. 289

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抄録
ホウ素は必須元素の一つであり、ホウ素欠乏は植物の生育抑制を引き起こす。一方、過剰のホウ素は植物に毒性を示す。シロイヌナズナBOR1は低ホウ素栄養条件下での根の導管へのホウ素の積み込みに働く排出型ホウ酸トランスポーターである。BOR1の蓄積はホウ素栄養に依存して転写後制御されており、ホウ素十分・過剰条件では分解される。
前年会でシロイヌナズナのBOR1相同遺伝子のうちBOR4が根の内皮で強く発現する排出型ホウ酸トランスポーターであることを示した。今回は、BOR4がホウ素過剰耐性に働く分子であること、および、ホウ素過剰耐性植物を初めて作出したことを報告する。
CaMV35SRNAプロモーター制御下でBOR4-GFPを発現する形質転換シロイヌナズナを作成し、ウェスタン解析を行ったところホウ素栄養条件に関わらずBOR4-GFPタンパクが同程度検出され、GFP蛍光が細胞膜に観察された。独立な形質転換体6ラインを固形培地で生育させたところ、ホウ素過剰条件で、いずれのラインにおいても野生型株と比較して大幅な生育の改善が観察された。ホウ素通常条件では野生型株と生育に有意な差は見られなかった。
これより、BOR4はBOR1とは異なり、高ホウ素条件でも分解を受けない分子であり、ホウ素の細胞内から細胞外への排出により、植物に高いホウ素過剰耐性を付与する活性があることが明らかになった。
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© 2007 日本植物生理学会
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