日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの新規亜鉛トランスポーターOsZIP4の過剰発現体は,亜鉛の体内分配に異常を示す。
*石丸 泰寛増田 寛志鈴木 基史高橋 美智子中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 290

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抄録
亜鉛は,成長,発達や分化などの細胞内プロセスを制御に関わる非常に重要な元素である。我々は,亜鉛欠乏誘導性で,分裂組織や維管束に発現するイネの新規亜鉛トランスポーターOsZIP4を同定した。今回,我々はCaMV 35SプロモーターでOsZIP4を過剰発現させた形質転換イネを作製し,解析を行った。この過剰発現イネは,根では亜鉛含量が顕著に増加していたが,茎葉や種子では亜鉛含量は減少していた。ノーザン解析により,OsZIP4過剰発現体におけるOsZIP4の発現解析を行ったところ,CaMV 35Sプロモーターによる外生由来のOsZIP4は根や茎葉で過剰に蓄積していた。しかし,内生由来のOsZIP4は,根では発現誘導が抑制され,茎葉では発現が誘導されていた。マイクロアレイ解析により,OsZIP4過剰発現イネの茎葉における遺伝子発現を網羅的に解析したところ,その遺伝子発現パターンは亜鉛欠乏イネの遺伝子発現パターンとほぼ一致した。つまり,OsZIP4過剰発現イネは,根では亜鉛過剰,葉では亜鉛欠乏になっていることが明らかとなった。以上の結果は,OsZIP4はイネにおける亜鉛の体内分配に関与し,厳密に発現制御されなければならない非常に重要な亜鉛トランスポーターであることを示している。
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© 2007 日本植物生理学会
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