日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコBY-2 細胞の細胞分裂、細胞周期進行におけるカリウムイオンの役割
*佐野 俊夫Ivashikina NataliaHedrich Rainer馳澤 盛一郎
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p. 294

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抄録
カリウムイオン(K+)は植物細胞内にもっとも多く含まれる陽イオンであり、植物の成長に必須の成分である。細胞レベルではK+は細胞内の浸透圧調節物質として働き、細胞伸長、肥大に寄与していることが知られている。一方、K+チャネルを通じたK+の吸収は細胞周期の正常な進行にも必要であることが明らかになった。そこで、本研究ではタバコ培養細胞BY-2を用いて細胞分裂、細胞周期進行におけるK+の役割を調べた。まず、細胞内浸透圧調節への関与を考え、細胞内浸透圧を原形質分離法、およびプレッシャープローブ法を用いて測定したところ、細胞伸長時に比べ細胞分裂時では細胞内浸透圧が低かった。パッチクランプ法によりK+チャネル活性の細胞周期依存性を調べたところ、内向きK+チャネル活性はS期で、外向きK+チャネル活性はG2期で高いことがわかった。そこで、次に細胞質アルカリ化剤の効果を調べたところ、細胞質アルカリ化剤の添加はK+飢餓状態における、細胞分裂率の低下および細胞周期進行の遅延を回復した。これより、細胞分裂、細胞周期進行にはK+は細胞内浸透圧の調節というよりは、細胞質のアルカリ化に関与している可能性が示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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