日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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孔辺細胞における細胞膜H+-ATPaseのリン酸化反応と複合体の解析
*木下 俊則高橋 洋平島崎 研一郎
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p. 295

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抄録
気孔は青色光に応答して開口するが、この時、青色光は孔辺細胞の青色光受容体フォトトロピンに受容され、細胞膜H+-ATPaseを活性化し気孔開口の駆動力を形成する。これまでの研究により、孔辺細胞の細胞膜H+-ATPaseはC末端スレオニン残基のリン酸化とリン酸化部位への14-3-3蛋白質の結合により活性化されることが明らかとなっているが、この反応を触媒するプロテインキナーゼやホスファターゼは不明である。本研究では、ソラマメ孔辺細胞を用いて、H+-ATPaseのリン酸化反応や複合体の解析を行った。その結果、H+-ATPaseのリン酸化反応は単離ミクロゾームにおいて観察され、キナーゼやホスファターゼが、H+-ATPaseと同じ細胞膜に存在することが示唆された。さらに、ゲル濾過やBN-PAGEによるH+-ATPase複合体の解析を行ったところ、H+-ATPaseは300-500 kDaに検出された。青色光照射によるサイズ変動は見られなかったが、興味深いことに、H+-ATPaseの活性化剤フシコクシンで処理した孔辺細胞では、複合体のサイズが約750 kDaに増加していた。また、免疫沈降による解析を行ったところ、H+-ATPaseはいくつかの未知蛋白質と複合体を形成していることがわかった。現在、精製した複合体におけるリン酸化反応について解析を行っており、これらの結果についても報告する予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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