日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ポジティブ・ネガティブ選抜を用いたイネの普遍的遺伝子ターゲティング法の確立
*寺田 理枝定塚(久富) 恵世森藤 曉山口 勝司山内 卓貴姜 恭好薺藤 美保中園 幹生飯田 滋
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p. 306

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抄録
相同組換えを利用して、ゲノム上の任意の部位を予めデザインした配列に再現的に改変できる遺伝子ターゲティングは、機能ゲノム学的解析の有力な手法のであるが、高等植物では、マウスES細胞に比べてターゲティングの頻度が低く困難と考えられてきた。我々は、強力なポジティブ・ネガティブ選抜とPCRスクリーニングを組合せて、主要穀物中でゲノム情報が整備された野生型イネのWaxy遺伝子のターゲティングに成功した。我々の手法は、原理的にどの遺伝子にも適応可能で、組換・修復系遺伝子を操作しないため、改変標的遺伝子の機能解析も適している。事実、我々は重複遺伝子としてイネの第11染色体に座乗している Adh1 Adh2の個別改変や、 Adh1変異体の隣接する Adh2を改変した2重変異体の再現的作出に成功した。さらにDNAのメチル化に関与する2つのクロマチンリモデリング遺伝子 OsDDM1a OsDDM1b、3つのDNAメチル化遺伝子 OsMET1a OsMET1b OsDRM1aの個別改変にも成功した。これらの内で、 OsMET1a OsMET1b OsDRM1aの各プロモーターに GUS遺伝子をつなげたノックイン改変体では、組織特異的 GUS発現も検出できた。 Adh1以外の7遺伝子のターゲティングの頻度は得られた形質転換カルスの1-5%程度なので、マウスES細胞と同頻度のイネの普遍的遺伝子ターゲティング系を確立できた。
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© 2007 日本植物生理学会
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