日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高ニコチアナミン含有ダイズの創製
*野副 朋子金 秀蓮高橋 美智子中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 305

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抄録
イネ科植物は根圏から鉄を獲得するために、三価鉄キレーターであるムギネ酸類を根で合成・分泌して根圏の不溶態鉄を可溶化して三価鉄-ムギネ酸類錯体の形で吸収する。最近、ムギネ酸類の前駆体であるニコチアナミンが血圧降下作用を持つことが報告された。ダイズ種子にはニコチアナミンが豊富に含まれており、イネに比べると30倍も含まれている。ダイズ種子中のニコチアナミン含有量をさらに高めることができれば機能性食品として非常に有効であると考えられる。ダイズはタンパク質、脂質源として重要な作物であるが、イネやタバコなどに比べてアグロバクテリウム法による形質転換効率が非常に低く、遺伝子組換え体の作出はあまり普及していない。アグロバクテリウム法による形質転換法は低コピーで遺伝子を植物体に安定的に導入できるため、これを確立できれば非常に有用であると考えられる。本研究では、ニコチアナミン含有量の高いダイズの創製を最終目的として、ダイズ子葉を用いたアグロバクテリウム法によるダイズの形質転換技術の確立を目指した。ニコチアナミンは高血圧抑制効果を持つため、機能性作物としての応用が期待される。試行錯誤の結果、安定して再生体を得られる条件を確立した。今後は、ダイズ種子の発芽状態、ハイグロマイシン濃度や光・温度・湿度条件をさらに検討し、形質転換効率の改善を行っている。
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© 2007 日本植物生理学会
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