日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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機能誘導系を利用した新規転写因子過剰発現系統の作成と解析
*近藤 陽一吉積 毅川島 美香栗山 朋子光田 展隆瀧口 裕子高木 優松井 南
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p. 308

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抄録
理研PSC植物ゲノムグループではこれまでシロイヌナズナの機能獲得型変異系統を利用し、植物遺伝子の総合的な機能解析を目指してきた。これら変異系統では35Sプロモーターの恒常的発現制御により、系統を作成する段階で導入した遺伝子を過剰発現させている。したがって過剰発現させる事により植物の成育や形態に大きな影響を及ぼす重要な遺伝子は、胚性致死を引き起こすなど、系統を作成する段階で解析対象から除かれる。植物では転写因子による機能調節が特に重要な役割を果たしている事が解ってきており、前述の様に系統を作成する段階で除かれる遺伝子群には多くの転写因子が含まれていると考えられる。そこで我々はグルココルチコイド受容体を利用した機能誘導系を用いて、総合的な転写因子過剰発現系統の作出を試みている。本変異系統は各転写因子を一種類ずつ過剰発現させたものであり、DEX処理により導入された転写因子の機能が誘導される仕掛けになっている。そのため全ての転写因子について機能の重要性に関わらず変異系統を得る事が出来る。また転写活性化因子を転写抑制化因子に機能変換し導入したCRES-T変異系統とは、機能付加に対する機能欠損と反対の関係になり、これら変異系統同士の比較により重要な機能情報が得られると考えられる。
これらをふまえ本発表では作出中の変異系統についての現状と、機能解析の例を示し、本変異系統の有用性を議論する。
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© 2007 日本植物生理学会
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