日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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乾燥条件下で生育させたタバコにおける葉内CO2拡散コンダクタンスと葉の細胞膜型アクアポリン量との関係
*宮沢 真一新崎 由紀川崎 智美前島 正義三宅 親弘
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p. 318

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抄録
一般的に、C3光合成タイプの陸生高等植物では、葉緑体内のCO2濃度(Cc)は、外気CO2濃度の半分程度である。このようなCc低下の原因の一つは、気孔腔から葉緑体までに葉内CO2拡散コンダクタンス(gm) が存在するためである。近年、形質転換植物を用いた研究により、葉の細胞膜型アクアポリン量とgmとの間に正の相関がある事が示された。以前の報告から、乾燥ストレスはgmを低下させることがわかっている。しかしながら、このようなgmの低下がアクアポリン量の変化で説明できるのかどうか、明確ではない。そこで、タバコ(Nicotiana tabacum)を材料に、常に潅水し、成育させた個体(コントロール処理)と、間欠的に潅水した個体(乾燥処理)を用意し、gmとアクアポリン量の変化を調べた。gmはクロロフィル蛍光とガス交換速度の同時測定により推定し、その後、葉面積あたりの窒素を定量した。PIP1型とPIP2型アクアポリン抗体を用いて、ウェスタンブロット法により、葉のアクアポリンを検出し、定量した。その結果、乾燥処理個体のgmはコントロールに比べ約3分の1に減少し、両処理個体ともgmは窒素量と正の相関を示した。PIP1型アクアポリンは検出されなかったが、PIP2型アクアポリン量は処理個体で若干、増加した。以上の結果は、乾燥ストレスに伴うgmの低下は、葉のアクアポリン量の減少を伴わない事を示唆した。
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© 2007 日本植物生理学会
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