日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC 6803の光化学系量比調節に関わる因子Sll1961による転写制御
*田森 美緒藤森 玉輝尾崎 洋史佐藤 華代日原 由香子園池 公毅
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p. 319

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抄録
シアノバクテリアは、光環境の変化に応答して、光化学系量比調節、アンテナサイズの調節などを行っている。シアノバクテリアの強光応答においてはsll1961が光化学系量比調節に関わっている。しかしながら、Sll1961の機能と環境応答メカニズムの間の関係については明らかとなっていない。Sll1961は転写調節因子に相同性をもっており、その標的遺伝子を明らかにする目的で、sll1961変異株を用いたトランスクリプトーム解析が行われた。その結果から、Sll1961転写調節因子の標的候補がいくつか得られている。そこで本研究では、Sll1961標的候補遺伝子の転写制御と光化学系量比調節の関係について調べた。標的候補のうちslr0364, slr0366, slr2057の転写産物量は、sll1961破壊株において著しく減少していた。この減少は、弱光で培養された細胞でも強光で培養された細胞でも同様に見られた。それらの遺伝子破壊株の光化学系量比を解析した結果、sll1961破壊株と同様の表現型を示す株は存在しなかった。ただし、野生型とは若干異なる光化学系量比を示すものがあることから、Sll1961がこれらの標的遺伝子の転写制御を通じて光化学系量比調節に関わる可能性が考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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