日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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珪藻の酸素発生光化学系2標品の単離とその表在性蛋白
*長尾 遼石井 明子鈴木 健裕堂前 直奥村 彰規岩井 雅子榎並 勲
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p. 330

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抄録
珪藻は、世界中の海洋や淡水に生息する単細胞藻で、熱帯雨林に匹敵する炭素同化を行う水域圏の炭素循環において最も重要な藻類である。このように水域圏の生態系で最も重要な藻類であるにもかかわらず、珪藻の光化学系2複合体(PS2)の生化学的な研究はほとんどない。その大きな原因の一つは、珪藻は珪酸質の固い殻に覆われているため細胞破壊が難しく、高い酸素発生能をもつチラコイド膜が調製できないと考えられてきたことにある。そこで、本研究において珪藻細胞の破壊方法を種々検討した結果、凍結融解により容易に珪藻細胞が破壊できることを見出し、高い酸素発生活性をもつIntactなチラコイド膜を調製することに成功した。さらに、チラコイド膜をTriton X-100処理した後の遠心分画により珪藻PS2を部分的に精製することにも成功した。この珪藻PS2には、CP47, CP43, D2, D1, Cyt b559などの膜蛋白に加え、5種の表在性蛋白が結合していることを見出した。これらの表在性蛋白を、抗体を用いたウエスタンブロッテングとN末端アミノ酸配列から調べた結果、4種は紅藻タイプの表在性蛋白(PsbO, PsbQ’, PsbV, PsbU)であったが、1種は未同定のものであることが判明した。珪藻PS2の諸特性について発表する予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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