抄録
フィトクロムは、植物において赤色・遠赤色光受容体として様々な光応答に関わっている。一方、シアノバクテリアのゲノムから、フィトクロムと似て非なるタンパク質群が見つかり、シアノバクテリオクロムと呼ばれている。これらのうち、走光性を制御するTePixJが、フィトクロムとは全く異なり、青色ー緑色光吸収型光変換を示すことが当研究室により解明された。また、未知のシアノバクテリオクロムがゲノム中にさらに存在するため、より多様な光受容体の存在が期待される。本研究では、TePixJとオルソログ関係にありながら、色素結合型GAFドメインは異なるサブファミリーに属する、Anabaena sp. PCC 7120のPixJ(AnPixJ)に着目し、その光化学性質を解析した。
AnPixJの色素結合型GAFドメイン(AnPixJ-GAF2)をヒスタグ融合タンパク質として、フィコシアノビリン産生大腸菌で発現・精製した。AnPixJ-GAF2は開環テトラピロールを共有結合し、緑色光吸収型(543 nm)と赤色光吸収型(648 nm)の間を可逆的に光変換する新規の光受容体であった。また、酸性尿素(pH2.0)による変性実験により、オーソドックスなフィトクロムであるCph1と色素レベルでは同じ光反応が起きていることが示唆された。これらの結果から、AnPixJ-GAF2における光反応機構について議論する。また、当研究室で現在行っている他のシアノバクテリオクロムとの比較を基にした、今後の展望についても議論したい。