日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803の光順化に関わる新規シアノバクテリオクロム(緑‐赤色光受容体:CcaS)の生化学解析
*広瀬 侑成川 礼落合 有里子片山 光徳河内 孝之池内 昌彦
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p. 342

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抄録
フィトクロムは植物における赤・遠赤色光受容体として様々な光応答に関わっている。一方、シアノバクテリアのゲノムからフィトクロムと似て非なるタンパク質群 (シアノバクテリオクロム) が見出された。Synechocystis sp. PCC 6803 (S.6803) のシアノバクテリオクロムの1つであるCcaS (sll1473) は、フィコビリソームの構成タンパク質(CpcG2)の発現を光波長依存的に制御し、光合成系へのエネルギー分配に関わることが当研究室で報告された。CcaSはシアノバクテリオクロムの色素結合型GAFドメイン、フラビン結合型LOVドメインを併せ持つ特異なHisキナーゼ様タンパク質であり、本研究ではそのセンサー機能の解明を目的として様々な生化学解析を行っている。
CcaSのGAFドメインを、S. 6803およびフィコシアノビリン (PCB) 産生大腸菌でHisタグ融合タンパク質として発現・精製した。両者は、緑色光吸収型と近赤色光吸収型を光可逆的に変換し、吸収差スペクトルはほぼ一致した。このことからPCBがCcaSのGAFドメインに結合することが示唆された。N末の膜貫通領域を除いたCcaSをPCB産生大腸菌で発現・精製し、吸収スペクトルからPCBとともに、フラビンが結合していることが確認された。また、緑色光吸収型と赤色光吸収型では自己リン酸化活性に違いが見られた。現在、CcaSからレスポンスレギュレーター (CcaR:slr1584) へのリン酸転移反応を解析中である。
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© 2007 日本植物生理学会
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