日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FOX-hunting法を用いたイネCd耐性・蓄積能関連遺伝子の探索
*吉原 利一朴 恵卿庄子 和博後藤 文之中村 英光羽方 誠市川 裕章市川 尚斉松井 南廣近 洋彦
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p. 350

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抄録
FOX-hunting法(Full-length cDNA Over-eXpressor gene (FOX) hunting system)を用いてゲノムワイドな完全長cDNAのランダム高発現による形質転換体を得た後、Cd耐性・蓄積能関連遺伝子の探索に応用した。耐性関連遺伝子の探索にはT0カルス、吸収・蓄積能関連遺伝子の探索にはT1種子からの実生幼植物体(T2)を用い、それぞれCd暴露下において育成した後、生育量、あるいは地上部と根部のCd含有量を指標として選抜を行った。選抜基準は実験プール毎に5%の有意水準を逸脱する値とし、これらの値を示したカルス、あるいは植物体から遺伝子を抽出・同定してCd耐性・蓄積能関連遺伝子の候補とした。なお、カルスの選抜ではCd存在下において通常より生育の悪いカルスは通常のカルスと差がつきにくいことなどから、生育の良いカルス(すなわち遺伝子導入により耐性を獲得したと考えられるカルス)のみを選抜した。これまでに、カルス約10000株、T1種子500系統を供試し、他よりCd耐性が強いカルス約100株、Cdあるいは他の金属元素の含有量に変化が認められたT1種子約130系統を得た。これらの中には、ファイトキレーチン合成酵素、各種カイネース、活性酸素除去酵素、トランスポーターなど既知のCdストレス応答関連遺伝子の他、機能が未解明の遺伝子が多く含まれている。
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© 2007 日本植物生理学会
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