抄録
オゾンは植物において可視障害を伴うクロロフィル(Chl)分解を誘導することが知られているが、オゾン誘導のChl分解機構については未だ不明な点が多い。本研究では、オゾン感受性タバコBel-W3の葉において観察できる現象(Chl分解反応時の吸光スペクトル変化、Chl a/b 比の変化、蛍光性分解産物の生成パターン)を試験管内において再現できること、in vivo 、in vitro での反応は共に老化誘導性のクロロフィル分解経路と類似した経路を辿ることなどを確認し、in vivo とin vitro の両方で生じるChl分解産物のHPLCによる解析と、TOF-MS(時間飛行型質量分析計)利用したHPLC画分中のChl分解産物の同定を行った。