抄録
広範囲の土壌における低濃度の重金属汚染を解消する場合、低濃度であるために緊急性が低く、かつ広範囲を対象とするので、高いコストをかけた浄化法は適用しづらく、低コストの浄化法が求められる。その1つとして植物を用いた浄化法(ファイトリメディエーション)は、有力な手段としてあげられるが、単位時間当たりおよび単位面積当たりの浄化率が低いために浄化終了までに長時間を要する。このような問題点を持つファイトリメディエーションを一般化するためには、高い重金属の吸収・蓄積能力を持つ植物が求められる。一方、代表的な重金属であるカドミウム(Cd)によって植物の生長が抑制され、クロロシスが誘導されることが知られている。しかし、その現象に関与する因子はほとんど分かっていない。そこで我々はCdによって引き起こされる生理現象を遺伝子レベルで明らかにすることを目的としてCd感受性変異体のスクリーニングを行った。T-DNAタギング法により得られた約200万粒のアラビドプシス種子をビアラホスで選抜し、約13000系統のタグラインを得た。それらの実生を50 μM Cdを含む培地で選抜し、野生型より根が短い個体を約40得た。現在、各変異体のDNA解析を進めるとともに、生理的特長を把握するために種々のCd濃度に対する応答について解析中である。あわせて報告する。