日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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T-DNA挿入変異体のカドミウムに対する応答解析
*三幣 容子篠崎 開古堅 宗太郎庄子 和博吉原 利一後藤 文之
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p. 352

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抄録
高等植物のカドミウム(Cd)に対する耐性や吸収機構を担っている遺伝子を同定し、そのメカニズムを解明することを目的として本研究をおこなった。T-DNAタギングによるシロイヌナズナ遺伝子破壊系統を作成し、Cd含有培地における根の伸長量を指標としてカドミウム(Cd)に対する感受性個体の選抜を行った。その結果、Cdに対して強い感受性を持つ変異体(hsc1)を得た。この系統と野生型シロイヌナズナを比較した場合、0μM Cdでは根の伸長がさほど変わらないのに対し、50μM Cdにおいてはおよそ半分となっていた。この変異体におけるT-DNA挿入部位をTAIL-PCRで確認した結果、第3染色体に座上するTriose phosphate isomerase(TPI)遺伝子の第7イントロンであった。そこで、TPIがCd耐性に何らかの関与をしていると考え、野生型シロイヌナズナを用いRT-PCRによるTPIの発現解析を行った。100μM Cdを1週間暴露した場合、根において1/2MSよりも約5倍の発現量があった。しかし、茎葉においてはその発現に変化は認められなかった。さらに、変異体の根、葉いずれにおいても遺伝子の発現はまったく認められなかった。これらの結果は、TPIのCd耐性への関与の可能性を示唆するものである。
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© 2007 日本植物生理学会
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