日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ銅耐性QTL原因遺伝子の同定
*小林 佑理子木村 圭介木村 和彦小山 博之
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p. 358

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抄録
銅は必須微量元素のひとつであり、植物体内の酸化還元酵素を構成する成分として重要な生理的役割をもつ。しかし、過剰な銅は、クロロシスや根伸長阻害などを起こす。そこで、本研究では銅耐性に関与する遺伝子を特定するためQTL解析を行った。シロイヌナズナLer/Cvi 及び、Ler/Col RILsを用い、コントロール区に対する銅ストレス下での根伸長量を銅耐性指標としてQTL解析(CIM法, p < 0.05)を行った。その結果、両RILsにおいて複数の共通するQTLが検出された。特に、第1染色体下部のQTL1は銅耐性変異への寄与率がLer/Cvi RILsで40%、Ler/Col RILsで20%と高く、QTL1領域には主要な銅耐性遺伝子が存在すると考えられた。また、銅感受性RIラインでは耐性ラインに比べ、地上部よりも根部への銅集積が高かった。よって、主要なQTL1は銅輸送に関与すると考えられた。実際に、copper-exporting ATPase遺伝子(HMA5)が両RILsのQTL1領域内に存在したため、その詳細な解析を行った。その結果、同遺伝子のT-DNA挿入遺伝子破壊株は、地上部よりも根部への銅集積が高く、銅ストレスに対し超感受性を示した。また、その感受性は、耐性親のLerアレルでは相補したが、感受性親のCviアレルでは相補しなかった。以上のことから、QTL1遺伝子はHMA5であると結論した。
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© 2007 日本植物生理学会
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