日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ液胞膜Zn2+輸送体AtMTP1の機能解析 ―ヒスチジンリッチループの役割―
*河内 美樹小八重 善裕前島 正義
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p. 359

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抄録
Cation diffusion facilitator (CDF) ファミリーの一つであるArabidopsis thalianametal tolerance protein 1 (AtMTP1, 43 kDa)は、液胞膜に局在し、過剰亜鉛の毒性回避に重要であることを既に我々が報告している。液胞の亜鉛輸送を欠失した酵母変異株(亜鉛感受性株Δzrc1cot1)へAtMTP1を異種発現させると、亜鉛耐性が回復し機能相補する。この酵母より調製した液胞膜を用いた65Zn2+輸送活性測定より、AtMTP1はH+との交換輸送によりZn2+を液胞へ輸送しているZn2+/H+ exchangerである事を初めて明らかにすることができた。しかし、細胞内の亜鉛は非常に低濃度に保たれており、どのように低濃度の細胞質亜鉛を輸送体が察知して、過剰な亜鉛のみを液胞へ輸送するのか興味深いが不明である。AtMTP1は4番目と5番目の膜貫通ドメインの間にHisを25個含むループを持っており、このHis-rich Loopが亜鉛輸送に重要であることをHis-rich Loop変異体を用いた解析より明らかにした。部位特異的な変異導入により、新たに特定した輸送機能に影響を及ぼす残基と共に、AtMTP1の構造と機能相関について報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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