日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トマト果実におけるα-アラビノフラノシダーゼ機能解析
*聖代橋 史佳松野 純子上吉原 裕亮立石 亮井上 弘明
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p. 371

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抄録
α-アラビノフラノシダーゼ(α-arabinofuranosidase)はペクチンやヘミセルロースからアラビノースを遊離する細胞壁分解酵素の一つである。果実において、アラビノースは成熟時に細胞壁多糖類から遊離し、果実の軟化や肉質の形成に関与している可能性が示されている。また、アラビノースの存在は細胞接着に関与するという報告もある。トマト果実において、α-アラビノフラノシダーゼ活性を測定すると、成熟果実だけでなく生長中にも検出された。高等植物から精製されたα-アラビノフラノシダーゼはGlycoside hydrolase ファミリー3と51に分類され、それぞれ基質特異性が異なり、特にファミリー3に属するα-アラビノフラノシダーゼは同時にβ-キシロシダーゼ活性を有する二機能性を示す。したがって、本酵素は生体内でアラビノースの遊離以外にキシロースの遊離にも作用している可能性があるが、その役割や機能については不明な点が多い。そこで、トマト果実を用い、ファミリー3に属する4つのα-アラビノフラノシダーゼをクローニングした。4つの遺伝子の発現は異なっており、果実の細胞分裂期、肥大期、老化期にそれぞれみられ、別々の役割を担っていると推定された。リコンビナントタンパクを用いてその基質特異性を調べるとともに、形質転換トマトを作成中である。
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© 2007 日本植物生理学会
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