日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウ素ラムノガラクツロナンII複合体の機能に関する研究:特異的構成糖KDOの欠損株は雄性不稔である
*小林 優稲見 明奈高津 渚田島 洋間藤 徹
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p. 372

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抄録
植物の必須元素ホウ素は細胞壁に局在し、ペクチン質多糖のラムノガラクツロナンII(RG-II)領域に特異的に結合している。我々は、このホウ素RG-II複合体の機能を解析する手段としてRG-IIの構造変異株の作出を進めている。特にRG-IIの特異的構成糖である2-ケト-3-デオキシオクトン酸(3-deoxy-D-manno-oct-2-ulosonic acid; KDO)に着目し、変異導入の基盤となる知見を得るために高等植物のKDO生合成経路について検討中である。
CMP-KDO合成酵素(CKS;EC 2.7.7.38)は、KDOをRG-II合成の直接の基質である糖ヌクレオチドCMP-KDOに変換する酵素である。シロイヌナズナはCKS遺伝子1コピーを有する(At1g53000)。CKS遺伝子にT-DNA挿入を持つ3ラインについて解析したところホモ変異株は得られず、ヘテロ株の後代では野生型:ヘテロ型がおよそ1:1に分離した。かけ合わせ実験では、ヘテロ株を花粉親とした場合の後代は全て野生型であった。これらの結果は、CKS欠損によりKDOを含む正常なRG-IIが合成できない植物では花粉の稔性が失なわれることを示している。現在、cks変異が花粉の形成から授精に至るどの段階を阻害するかについて検討中である。
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© 2007 日本植物生理学会
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