日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ花茎細胞壁伸展特性のPCMによる解析-Lockhart式の批判的検討-
高橋 奈津美森本 宏高橋 宏二*加藤 潔
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p. 370

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抄録
シロイヌナズナ分枝花茎の伸長域から凍結融解法により細胞壁試料を調製し、その伸展特性の解析を行った。伸展速度の張力依存性(SER特性)をProgrammable Creep Meter (PCM)を用いるスイープ法(1)により求めた。特性解析に当たってSER曲線からノイズを除去して壁降伏パラメータを算出したが、この処理はMathematicaでプログラムを組んで行った。花茎細胞壁の破断張力は最大でも16 gf (pH 6.8)と小さいが、最大伸展速度は大きく25 %/h(pH 4.8 )に達した。SER特性はキュウリ(1)、ダイズ(2)、ササゲ(3)などと同様強くpHに依存し、壁の酸による伸展は容易であることが分かった。しかしSER曲線の直線による近似は難しく、Lockhart 式をもとにした従来の方法による壁の特性解析はできなかった。そこでSER曲線の各接線につき、その勾配を「微分壁展性」、x-切片を「見かけの降伏張力」と定義する新たな拡張Lockhart 式を導入して解析したところ、シロイヌナズナ細胞壁の降伏特性を適切に記述することができた。
1) Takahashi et al., Plant Cell Physiol. 47, 1520 (2006).
2) Ezaki et al., Plant Cell Physiol. 46, 1831 (2005).
3) Okamoto & Okamoto, Plant Cell Envrion. 17, 979 (1994).
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© 2007 日本植物生理学会
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