日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウ素を含まない培地中で成長するギンドロ培養細胞のペクチンメチルエステラーゼ活性と遺伝子発現
*掛川 弘一
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p. 374

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抄録
ホウ素は高等植物の微量必須元素であり細胞壁ペクチンを架橋することによって細胞壁の構造を安定化させる働きがあると考えられている。演者はこれまでに低ホウ素条件下(5 μM)で成長可能なギンドロ培養細胞系(1/20-B)を確立し、ホウ素欠乏耐性機構について研究を行ってきた。その結果、ペクチン間のカルシウムによる架橋形成に必要なペクチンメチルエステラーゼ(PME)遺伝子の発現量が増加するとともに酵素活性が上昇することが明らかになりPMEがホウ素欠乏耐性に関与している可能性が示唆された。今回、ホウ素を含まない培地中で成長が可能な0-B細胞におけるPME活性とその遺伝子発現について調べたので報告する。
0-B細胞のPME活性は実験ごとのばらつきが大きく細胞系の不安定さを示していると考えられた。活性は非耐性細胞である1/1-B細胞よりも高く1/20-B細胞と同等であった。しかし、変動パターンは1/20-Bと大きく異なっており継代直後の高活性が6日目まで減少し、その後再び増加することが明らかになった。一方、PME遺伝子は1/20-B細胞と同様に継代後8~10日目で発現量が多く発現時期も1/1-B細胞では発現が見られない培養後期まで続いていた。これらの結果は0-B細胞においても1/20-B細胞と同様なホウ素欠乏に応答するPME遺伝子の発現と酵素活性の誘導機構が存在することを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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