日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ホウ素-ペクチン架橋形成に必須な遺伝子NpGUT1の細胞分裂過程における機能
*岩井 宏暁石井 忠酒井 愼吾佐藤 忍
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 373

詳細
抄録
高等植物の形態形成においては、分化した細胞同士の接着が重要である。しかし、その主役であるペクチンの生合成メカニズムや発現特性に関する知見は極めて乏しい。近年我々は、細胞接着性の弱くなった突然変異体nolac-H18の解析より、ペクチングルクロン酸転移酵素遺伝子:NpGUT1を同定した。この遺伝子は、頂端分裂組織で特に発現が強く、ホウ素-ペクチン分子間架橋およびホウ素の受容に必須の遺伝子である。同調化したタバコBY-2培養細胞を用いて細胞分裂過程におけるNpGUT1の発現パターンを調査した結果、M期前半に特徴的な強い発現を示し、その後は細胞分裂過程全体で弱い発現が観察された。そこで、DEX誘導アンチセンスNpGUT1(GUT1A)形質転換タバコBY-2培養細胞を用いて、同調培養開始直後からDEXによるGUT1A誘導を行い20時間後に観察を行ったところ、細胞接着性が弱くなり単細胞化したBY-2細胞が約30%の割合で形成され、NpGUT1は細胞板形成に重要であることが考えられた。また、DEX誘導GUT1A形質転換タバコを用いて、本葉が出る前の芽生えの茎頂に対してDEX添加を行った結果、茎頂がカルス化し、メリステムの細胞接着が弱くなっている様子が観察された。以上の結果より、NpGUT1は細胞分裂過程において重要であり、メリステムにおける細胞接着に貢献していると考えられた。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top