日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アオミドロの仮根形成におけるセルロース微繊維配向の制御
*吉田 勝久新免 輝男
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p. 377

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抄録
植物細胞の形態制御には細胞壁のセルロース微繊維の配向が重要であると考えられており、その配向の制御には表層微小管が関与していることが示唆されている。
アオミドロは円筒状の細胞が横一列に連なった糸状の藻体を形成している。いくつかの種類のアオミドロは、藻体の末端に仮根を形成し基質に付着する。仮根は藻体の末端に位置する細胞が分化し、伸長と分岐を繰り返すことで形成される。これまでの研究において、微小管重合阻害剤であるオリザリンで処理をすると仮根が膨れることを示し、微小管が仮根の形態形成に重要な役割を担っていることを明らかにした。
セルロース合成阻害剤であるDCBで処理したところ、仮根の先端が破裂した。仮根ではカロースが合成されていることが知られている。DCB存在下でもカロースの合成が行われていたことから、仮根先端部でのセルロース合成が仮根の伸長に必須であることが明らかとなった。そこでセルロース微繊維の解析を行った。
仮根の細胞壁内面において、束状の微繊維が観察された。その配向は微小管に非依存的であった。オリザリン処理によって膨れた仮根においても束状の微繊維が観察されたことから、微小管は束状の微繊維の形成や配向には関与しないと考えられた。一方、仮根の先端部においてのみ、微小管と微繊維の方向が一致していた。この先端部におけるセルロース微繊維の配向制御が仮根の形態形成に重要であると思われる。
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© 2007 日本植物生理学会
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