日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Cry2の下流でFT発現を制御するTDU遺伝子の解析
*遠藤 求望月 伸悦鈴木 友美長谷 あきら
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p. 385

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抄録
シロイヌナズナにおいてphyBやcry2・phyAといった光受容体は花成を制御していることが知られている。これら光受容体はCOタンパク質の安定性を制御することで、その下流にあるFTの発現を制御している。しかし、光受容体からFT発現制御に至る過程はまだ多くの点で不明であり、ここに位置づけられる因子は少ない。
われわれは、SALKより取得したあるT-DNA挿入株が顕著な遅咲き表現型を示すことを見出し、これをtdu変異体と名づけ詳しい解析を行った。野生型と比較してtdu変異体では、CO発現は変化していないにも関わらず、FT発現が低下していたことから、原因遺伝子はCOタンパク質の安定性もしくはFT発現を直接制御する因子をコードする可能性が示唆された。複数アリルの解析、過剰発現およびサイレンシング系統の解析から、この変異の原因が確かに当該遺伝子へのT-DNAの挿入によることを確認した。TDU遺伝子は新規の核タンパク質をコードしており、転写促進因子の多くで見られるグルタミンリッチな領域を持っていた。また、イネやシロイヌナズナの近縁種でも相同遺伝子が見出された。さらに、phyB変異体との二重変異体、単色光下での花成時期および胚軸伸長制御などからTDUがcry2の直下で働いている可能性が示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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