日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの開花におけるフィトクロムの役割
*石川 亮青木 麻由美黒谷 賢一清水 久代横井 修司稲垣 言要篠村 知子高野 誠島本 功
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p. 384

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抄録
我々はイネの開花機構を明らかにするため、短日植物に見られる光中断による花成遅延現象を利用した研究を展開している。イネに対して暗期の中央で白色光による光中断を一回行なうと、開花のスイッチとされるHd3a遺伝子の急激な発現抑制が観察されるが、この反応にはフィトクロムBが関係していることを報告した(Ishikawa et al. 2005)。その後、光中断の光源に単色光を用いる実験を行った結果、光中断によるHd3aの発現低下と開花遅延は赤色光の光量依存的に制御され、また赤色光による光中断効果は遠赤色光よって打ち消される関係を確認した。
さらにイネの開花における概日時計と光の関係を明らかにするためにHd1過剰発現体を用いた解析を行った。野生型においてHd1を過剰発現させた場合、長日条件下では開花に影響はないが、短日条件下ではHd1の発現低下と顕著な開花遅延を起こすことが明らかになった。一方、phyB変異体においてHd1を過剰発現する形質転換イネを作出したところ、短日条件でのHd1の過剰発現による開花遅延は見られず、むしろ開花促進が見られた。また、この条件ではHd3a遺伝子の発現も誘導されていた。以上の結果から、イネの開花における概日リズムとフィトクロムBからのシグナルの相互作用について考察したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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