抄録
長日植物シロイヌナズナの花芽形成における光周期依存促進経路の中心的な役割を担っているCONSTANS(CO)遺伝子は、花成統合遺伝子であるFTを正に制御することで花芽形成を誘導する。我々は、これまでに、シロイヌナズナ幼植物体を用いたトランジェント解析により、FTプロモータ領域内にCOによる活性化に必要なシス配列を2つ見いだしている(中川ら、未発表)。そのひとつであるエレメントIIは21bpからなるが、今回、配列内に網羅的に変異を導入し、トランジェント解析で活性化能をモニターすることでコアとなる10bpのコンセンサス配列を同定した。このコンセンサス配列をプロモータ領域に2つ以上持つ遺伝子を対象に、シロイヌナズナの公開マイクロアレイデータから、co変異体と野生型で発現に差が有るものを絞り込むことによって、CO遺伝子の直接の下流にある遺伝子の候補を複数同定した。これら遺伝子のいくつかに関しては、プロモータ領域へのCOの作用をトランジェント解析で調べ、COが転写制御に関与していることを確認した。また、シロイヌナズナを用いたトランジェント解析において、短日植物イネのCOオーソログであるHd1もFTプロモータを活性化する(中川ら、未発表)。そこで、エレメントIIコンセンサス周辺配列に対するCOとHd1の活性化能をトランジェント解析で調べ、比較解析を行っている。